4年間の調査の結果、遂にその全貌を現した BULLDOG Racer。
レースでの傷みをそのまま保った車体を目の前にした時、今後も静かにその車体を休める事になるだろう。誰もがそう思った(?)その時、一人の男が食い付いた。
「これこそ俺が乗りたかった理想のマシン。どんな事をしても復元したい!」。その情熱で、とうとう保管者を説得してしまったその男は、早速BULLDOG Racerを原型に製作に掛かった・・・。
男がこだわったのは、出来る限り正確な外装部品のジオメトリー。その為、渋る保管者からBULLDOG Racerを借り受け、まずFRP業者により外装から型枠を起こす事になった。前後バンパー・Fフェンダーはボルトで固定されていた為、はずしての作業が可能であったが、ドア部・Rフェンダーはリベット留めしパテ処理されていた為、やむなくそのまま型取りする作業とした。
実際その部品を取り付けてみると、元々ハードなサスペンションを装着するのを前提に設計されている為、タイヤクリアランスに余裕が無い事が判明。とは言え、足周りを固めてしまうと公道走行に支障をきたす恐れがある。そんな中、とある仲間の知人(レースショップ)がセッティングを名乗り出てくれた。
元々シルエットボーイ(現バリュースポーツ)製のエアロパーツが装着されていたこの車だが、更に全幅が増し、3ナンバー登録とした。そして、純正のリアウイングは男にとって格別の思い入れがあり、そのまま残す事となった。
切り立ったFスポイラー。ナンバー上のスリットは、本来オイルクーラーを冷やすインテークだが、この車はオルタネータを冷却している(?)。左右ウインカー下に開いたホールは、元々ブレーキローターを冷却するホースへと繋がる物だが、現車ではタイヤを冷やして男の熱い走りに注意を促しているようだ。
LUCK製ダンパーを装備する足周りは、フロントに5mmのスペーサーをはさみ、スピードスター社製マークIII(ツインリンクもてぎ・コレクションホールに展示のBULLDOG Racerと同様)の7J-14を前後に装着。
BULLDOG Racerのリヤフェンダーはタイヤの干渉を避ける為に、一部カットされた上からFRP外装を取り付けられているが、現車は錆を防ぐ為に、本来のリヤフェンダーの一部をタタキ出したのち、FRPを取り付けた。
BULLDOG Racerのシンボルでもあるサイドデカールは、タミヤのプラモデルから寸法が採られた。
幾多の困難を乗り越えて完成したBULLDOG Racer Replica。数多くの協力者を経て、とうとうそのハードなマシンが走り出す時が来た。
男(黒ブルドッカー忍NINくん)の胸には熱いものが込み上げた。
ちなみに内装はボディソニック・エアコン・カーナビ・最新カーステと快適装備。どうやら運転手にチューニングの余地が残されているようだ・・・。