ウォッシャーノズルがよく詰まってしまいます。ノズルの先を針等でつついて回復するうちは良いのですが、そのうち何度つついてもすぐにだめになってしまいます。リアは使用頻度が低いのと配管が長い為か、フロントより良くありません。
ノズルが詰まるのは配管内で固形物が発生してそれがノズルまで流れて来るからだと想像できます。そこで配管を洗浄してすっきりと出るようにします。
テールゲートの上にあるリアウォッシャーノズル。これを直接はずせれば話が早いのですが、きれいにはずすのは難しいようなので、なるべくバラさない方法を考えました。
今回の作業で使う道具です。プラスチック製の50ccシリンジと内径6mmのチューブ1メートルほどです。シリンジは必須です。シリンジは理科の実験や予防接種で見たことはあるけど個人で買うにはどこに行ったらよいのか迷いますよね。探してみると自動車工具屋さんや東○ハ○ズの店頭にありました。数百円で入手できると思います。ガラス製より割れる心配のないプラスチック製が良いでしょう。
チューブは作業環境の為に使いますので、無くても配管洗浄はできますが、あった方が良いです。
道具をそろえるときの大事なポイントです。シリンジの口は内径6mmのチューブが接続できる形状を選んでください。市販のシリンジには何種類かの形状があります。
もうひとつ使う道具です。ノズルをつつく針金です。図はノズルの内径に近い太さで0.5mmのものです。これの他には水道水を入れたバケツを用意しましょう。
いよいよ作業にかかります。リアウォッシャーノズルから配管にアクセスするのはあきらめたのでタンクとチューブの接続部にアクセスし、チューブから先を洗浄していきます。タンクは左前フェンダ内にあります。タイヤハウスの内張りをはずします。タイヤ交換の要領でジャッキアップしておいた方が手が入りやすいです。撮影モデル車はバンパーまではずれていますが、これは別作業のためであり必須ではありません。
なお、チューブの中継コネクタが助手席フロアカーペット下にあるシティもあるようなので、作業にとりかかる前にひと目見てみるのもよいでしょう。
タイヤハウス内で下からタンクを見上げた図です。図の上側が車両の前側です。青いウォッシャー液が入ったタンクにモーターが二つついています。リアノズルにつながっているのは車両の前側のモーターです。
理解のためにウォッシャータンクとモーターを外に取り出して真横から見た図です。図の左側が車両の前側です。右端のタンクが薄くなっているところが左ドアを開けてウォッシャー液の量が見えるところですね。リアノズルにつながっているのは左の赤いコネクタのモーターです。
リアノズルにつながるチューブをモータからはずします。チューブとモーター側の樹脂の双方とも経年でもろくなっていますから壊さないように丁寧にはずします。チューブは引っ張ると内径が小さくなる性質がありますから、押して内径を大きくする方法がベターです。図のような道具を使うと便利です。
タンク下部からチューブをはずすとウォッシャー液がだだ漏れになり、袖口にしみます。そこで一端をドアミラー等タンクより高い位置にひっかけた内径6mmのチューブを代わりに素早く接続すれば作業環境を汚しません。図で透明なチューブが代わりのチューブです。1メートルの長さはドアミラーにひっかけるためです。
はずしたチューブをシリンジに接続します。接続がゆるければ水道補修用のシールテープ等を用います。シリンジに水道水を入れ、「無理ではない力」で押します。なお、ウォッシャー液は体に良くない成分を含むことがあるので、シリンジがないからといって口で代用するのはやめましょう。
ノズルの先は針金でつついておきます。シリンジが押せなければ引きます。引くと水垢がシリンジに吸われてきます。
黒いミリ単位のヒラヒラとした水垢がいくつも吸われてきました。ノズル直径より明らか大きいです。こんなものが次から次へとノズルに流れて来たのではたまりません。これまで数台に施術しましたが、いずれもこういう形状の水垢でした。無理な力で押すと手の届かないところでチューブがはずれたり破裂したりすると恐いので、引くのをがんばります。押すのはノズルに向って水垢を吹き出すためではなく、空になったチューブに水を入れるためです。
水垢が出なくなるまで、この作業を繰り返します。何らかの方法でノズルから水を吸わせることができれば、作業効率は上がりそうです。シリンジ容量を50ccとしたのはチューブの容量との関係で、そのくらいが作業し易いからです。
撮影モデル車の場合、固着がひどくなかなか通水しませんでした。そこで前からはシリンジで力任せに押し、リアウォッシャーノズルからは圧縮空気でつついたところ、ついに車体内部でチューブがはずれてしまいました。図の矢印の辺りです。リアノズルの近く数センチ、細長い内装の内側です。内装をはずしてさらに鉄板の内側で手が入りません。幸いミーティング中で「神の手」があり再接続してもらって事なきを得ましたが、充分に注意してください。くれぐれも無理はなさらないように。
フロントは、後ろのモーターにつながっているチューブです。ノズルが2つに分かれていますから、助手に片一方を指でふさいでもらって作業します。
作業後はチューブの接続を元に戻します。他に不具合がなければ前後でそれほど違わない水量が得られるはずです。
作業後でも水垢のひとつがチューブ内壁からはがれてノズルに達すればウォッシャー液の通りを妨げてしまいます。洗浄作業によってはがれかかった水垢が洗浄の翌日にはがれノズルに詰まることもありそうです。水垢の量は地域の水質によってはかなりたっぷりです。そこで、「チューブの洗浄によって内壁からはがれる水垢を減らし、ノズルが詰まる確率を減らす」と解釈しています。
なお、この作業は水を冷たいと感じない季節がベターです。ソメイヨシノの花が散り、葉が出たころから紅葉するくらいまでですね。
「自己責任」はお約束です。チューブや樹脂パーツの破損にはお気をつけください。