homeworkshop ⟩ リヤワイパーモーターのメンテ


report: 狸山ポン太 ⟩ 2011/06/13

01長年使っていると、リヤワイパーの動きがだんだん遅くなってきます。私のシティでは電子工作キットを使って後付けでリヤを間欠ワイパーにしているので、動きが余りに遅くなるとワイパーが途中で止まってしまいます。気の毒なくらいに動きが遅いので測定してみたところ一往復に5.8秒もかかっていました。数年前にワイパーモーターの清掃をしたところ動きが復活したので今回もやってみます。

使う工具類は、二面幅10mmのレンチ、プラスドライバー、爪楊枝あるいは竹串、グリスです。他に黒ではない細字の油性ペンがあると便利です。


02まず車両の外側からワイパーアームをはずすところから作業にとりかかります。そのためにはワイパーアームを留めているナットをはずさなければなりません。ナットは化粧キャップに覆われています。


03ワイパーアームは立てずに拭き取りゴムがガラスに接触させたままにしておきます。化粧キャップを手前にずらします。化粧キャップは小さな突起で引っ掛かるようにしてはまっているだけでネジ留めとかはされていません。薄い樹脂なので折らないように気をつけます。


04化粧キャップがはずれました。ワイパーアームを立ててしまうと化粧キャップが抜けません。パズルと同じでやり方がわからないと難しいのですが、わかってしまえば容易にできます。このあとワイパーアームをはずしますが、その前にシャフトとワイパーアームに黒ではない油性ペンなどで印をつけておくと組み立ての際に角度がわかって便利です。


05二面幅10mmのナットをゆるめます。ナットが充分にゆるんだらワイパーアームを立て、ナットを取り去ってワイパーアームを軸方向に抜きます。


06ワイパーアームがはずれました。車外の分解作業はここまでです。シャフトはこのあと車内方向に真っすぐ抜けるので、ゴム部品はこのまま触らないで下さい。


07車内側の分解にとりかかります。図はリヤドアの内張りをはずしたものです。二面幅10mmのボルト3本で留まっているのがリヤワイパーの駆動ユニットです。ボルト3本を抜き去り、駆動ユニットを車外に突き出しているシャフトの方向に抜きます。


08はずした駆動ユニットです。前図とは逆に車外から車内方向に見てます。この図で円柱の一部を切り落としたような形のものがモーターです。このモーターのケースと奥のギアケース類をつなげているのは2つのプラスビズです。この2つのビズをはずします。標準より軸が長いドライバーの方がやり易いでしょう。ビズをはずしたら、モーターのケースを円柱の軸方向にまっすぐ引き抜きます。少し抵抗を感じますが、磁石が鉄を引きつけている力です。部品が引っかかっているわけではありません。くれぐれも軸方向にまっすぐ引き抜いてください。力まかせはいけません。斜めに引くと何かを引っ掛けて破損してしまうかもしれません。


09モーターのケースがはずれました。細い配線が露出しているので丁寧にあつかいましょう。ここからは清掃とグリスアップです。図の右端はモーターのケースと接触しているシャフトなので組み立て時にはグリスアップします。


10前図の拡大です。黒い粉があちこちにまとわりついています。整流子の溝も黒い粉で埋まっています。整流子はブラシと定められたタイミングで正負の通電を行うものなので、隣の領域と勝手に通電しては困ります。黒い粉はブラシの磨耗したもので、これによる勝手な通電でモーターの力が出なくなったと推定しています。


11整流子の溝を清掃します。図は整流子がよく見えるように前図の逆方向、すなわち、車内側から車外方向へ見ています。整流子を傷つけないように、ドライバーやナイフの刃先ではなく爪楊枝を用います。竹串だと爪楊枝より折れにくく千切れにくいのでさらに良いでしょう。清掃が終わったら溝にはグリスをつめておきます。私は一般的な茶色のグリスを使いました。モーターシャフトの端部もグリスアップしておきます。


組み立ては分解と逆手順で行います。モーターケースをはめるときには磁力により思わぬ方向に引っぱられそうになります。何かを引っ掛けないように軸方向にまっすぐにはめてください。また、モーターケースは駆動ユニットの構造の一部をなしています。2つのプラスビズは丁寧にしめてください。もちろんしめ過ぎはいけません。そして、駆動ユニットをリヤドアに固定していたボルト3本をしめるときにはアース端子も忘れずにボルトに通してください。

この際なので駆動ユニットの他の擦動部もグリスアップしておこうと思う方もいらっしゃると思います。その場合は、駆動ユニットの部品を結合しているネジだけを緩めて分解してください。何かの調整用と思われるネジもありますが、わからないときは触らない方が無難です。整流子が汚れている場合、整流子の清掃とそれのグリスアップだけでもかなり効果があります。

組み上げてみたところ、ワイパーの動きは一往復あたり5.8秒かかっていたのが1.8秒になりました。3倍以上早くなっています。なお、バッテリー劣化の影響を少なくするためにどちらもエンジンはアイドリングで回し、ウォッシャー液を噴射したガラスに拭き取りゴムを接触させて測定しています。

「自己責任」はお約束です。薄い樹脂や細い配線の破損にはお気をつけください。


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